NHKスペシャル『人類誕生』第2集 最強のライバルとの出会い そして別れ

人類誕生

人類誕生 その他の回

最新の研究成果に基づき、数々のピンチを生き抜いた人類進化の物語3回シリーズです。

2018年5月13日にNHK総合で放送の『人類誕生』第2集は「最強のライバルとの出会い そして別れ」です。

アンデルタール人とホモサピエンスは、同じ祖先から全く別の場所で進化した、いわば遠い親戚のようなものです。
そして同時代に地球上に来ていた最大のライバルでした。
ネアンデルタール人が滅び、サピエンスが栄えたその違いは一体何だったのでしょうか?

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ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの出会い

イスラエル北部にあるマノット洞窟で、55000年前のホモ・サピエンスが暮らしていた痕跡が見つかりました。
この遺跡からわずか40 km の距離にアムッド洞窟では、ネアンデルタール人が住んでいた後も見つかっています。
とても近くで暮らしていたことが確かめられました。

共通の祖先から先にアフリカを出て主にヨーロッパで独自の進化を遂げたネアンデルタール人と、10万年後アフリカで誕生したサピエンスがアフリカを出た直後に早くもネアンデルタール人に出会っていたことになります。

ネアンデルタール人の実像

フランスのブリュニケル洞窟で世界最古のストーンサークルと思われるものが見つかりました。
ネアンデルタール人が鍾乳石を砕き、400個もの鍾乳石のかけらでできています。

ネアンデルタール人の頭蓋骨は、ホモ・サピエンスより10%以上も大きかったのです。
舌骨いや耳小骨などを調べるとしゃべる能力があった可能性が高いことも判明しました。
文化的な行動を行ってた証拠も次々に見つかっています。
ネアンデルタール人は、屈強な体に高い知能を併せ持つ人類だったのです。

30万年前のヨーロッパは、氷期の真っ只中で-30度にもなるとても寒かったのす。
アンデルタール人は、がっしりしていて胴長短足といった寒冷地適応の体をしていました。
ネアンデルタール人の狩りは、獲物に接近して行っていました。
とても力が強かったネアンデルタール人は、肉弾戦で狩りを行っていました。
一方、ホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人比べ全身の骨が細く力が弱かったです。
大型動物に挑む力を持っていなかったので小型動物を捕まえなんとか命をつなげていました。

ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の違い

ホモ・サピエンスは、道具を革新するのにたけていました。
石器を年代順にどんどん繊細になり、鋭利なナイフや骨に席を埋め込んだ槍先など,複雑な道具を生み出しました。
一方、ネアンデルタール人の石器は25万年もの間ほとんど変化がありません。

ダイアモンド博士の”ヒトの秘密” ホモサピエンスの大躍進

フランスのカスタネ岩陰遺跡では、サピエンスが多い時には150人ほどが一緒に暮らしていたと考えられています。
一方、スペイン北部にあるエル・シドロン洞窟では、ネアンデルタール人が多くても20人ほどの集団で暮らしていました。
DNA 解析でネアンデルタール人は家族単位の小さな集団で暮らしていたことがわかりました。

画期的な道具が生まれてもネアンデルタール人の家族単位の暮らしでは広がりません。
一方、サピエンスのように大きな集団では多くの人に広がり改良も進んでいきます。

モスクワの遺跡から、サピエンスの埋葬品が見つかりました。
この頃には死後の世界に思いを馳せ原始的な宗教のようなものが生まれていたと推測されるのです
フランスショーヴェ洞窟の壁画の中に、半人半獣像が描かれています。
一説には儀式を行うシャーマンの姿とも言われています。
宗教こそ人々を結びつけ巨大な社会を生み出す原動力になったと考えられます。
宗教は人々の間に強い絆を生み出しました。
人類は宗教を使って非常に大きな社会を作っていったのです。

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巨大な気候変動が人類の生末を分ける

ヨーロッパを襲ったハインリッヒイベントと呼ばれる巨大な気候変動で、ヨーロッパの気温が急激に乱高下を始めました。
森は消え生き物は激減しました。

宗教は何千キロも離れた人々を結びつけました。
例えば食料が足りなくなった時も宗教で結ばれた遠く離れた仲間同士が互いに助け合ってこの危機を乗り切ったのです。
こうして 気候変動を乗り越えたサピエンスが、ヨーロッパでの勢力を急激に拡大しました。

一方、ネアンデルタール人の生息域は徐々に狭まっていきました。
追い詰められたネアンデルタール人が最後に暮らした終焉の地は、ジブラルタルのゴーラム洞窟だと考えられています。

ネアンデルタール人から受け継がれる遺伝子

ドイツにあるマックス・プランク進化人類学研究所で、ネアンデルタール人の骨から DNA を復元することに成功しました。

復元したネアンデルタール人のゲノムを世界各地の現在の人々と比べると、アジアやヨーロッパの人々におよそ2%、ネアンデルタール人の DNA が受け継がれていることが分かったのです。
一方、アフリカのサハラ砂漠より南の人たちには、ネアンデルタール人の DNA はほとんどありませんでした。

サピエンスはアフリカを旅立ち、その直後にネアンデルタール人に出会い交配しました。
そして両方の遺伝子を持った子供が生まれ、世界中に広がって行きました、
一方、アフリカに残った人達はネアンデルタール人と出会うことなく混血もなかったのではないかと考えられます。

ネアンデルタール人から受け取った遺伝子は、今も私たちが生きるために大きな役割を果たしていることが分かってきました。
例えばアフリカにはなかったウイルスに対する免疫遺伝子です。
遺伝子によって、その後のサピエンスの反映を助けてくれたのです。

まとめ

かつてネアンデルタール人は、チカラはあるけど知力がなかったから、ホモ・サピエンスにとってかわられたのだ、と考えられていました。
ところが、ネアンデルタール人は屈強な体に高い知能を併せ持つ人類だったことがわかりました。

ではなぜ絶滅したのかというと、集団の大きさの差でした。
サピエンスは社会を築いていて、情報の共有を得られ道具も進化しました。
一方、ネアンデルタール人は家族単位だったので、情報が広がらなかったのです。
情報って昔から大切なものなのですね。

絶滅したネアンデルタール人の遺伝子も、現代のサピエンスにも残っていることがわかりました。
ネアンデルタール人の方が賢くて、サピエンスの体を借りてちゃっかり生き残っているのかもしれませんね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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