『第三のチンパンジー』の著者 ジャレド・ダイアモンド博士(カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授)が 進化の謎を紐解きながら人間の本質を探ります。
2018年3月23日に放送の『ダイアモンド博士の”ヒトの秘密”』第12回は「”格差”をのりこえて」です。
国内社会の不平等
先進国で貧富の差が大きいのは、アメリカ・ポルトガルそしてイギリスです。
アメリカでは上位1%の富裕層が、国民全収入の25%を得ています。
しかもこの国の格差は拡大しているのです。
貧しい両親の元に生まれた子供が貧困層から出して富裕層の仲間入りをする機会や可能性を示す社会的経済的流動性という言葉があります。
アメリカの社会的経済的流動性は、他の先進国に比べて低く、しかもアメリカンドリームを掴む機会は減っています。
この平等は貧困層の人々が、安い食品は不健康なものが多く適切な医療を受けるのも困難で、教育が行き届きません。
不平等は暴動のリスクを伴います。
今全米各地で経済格差が拡大していて,将来更なる暴動の可能性があるのです。
このように貧富の差は様々な問題を引き起こします。
国家間の不均衡の起源
国家間の不均衡の原因のひとつに内陸国の問題です。
内陸国とは陸地に囲まれ海や海に流れ込む大河に隣接していない国のことです。
アフリカには現在ザンビアやジンバブ・エウガンダなど15の内陸国あります。
内陸国は海に接する国と比べ平均で40%貧しくなると言われています。
そして天然資源です。
石油や木材・鉱石などがある国は 貧しくなる傾向があります。
天然資源の輸出に依存する国は内線に至る可能性が高く、政治の腐敗を誘発する傾向があります。
赤道周辺の熱帯諸国も土壌が貧弱で害虫による被害が大きく農業の生産性が低くなります。
かつて豊かだった国が植民地化されて、労働力や資源を搾取する組織を作られ、植民地が独立してからもそのまま残ってしまうことが多いのです。
グローバル時代の課題
人々の交流が盛んになり,コミュニケーションのツールが発達豊かな国と貧しい国の状況をより身近に感じるようになりました。
そして国家間の格差の存在が浮き彫りになったのです。
50年前 越えて移動するのが大変でしたが,今日では比較的安価で簡単テロリストが移動しやすくなりました.
富の不均衡は移民の大きな原因です。
移民の増加と難民問題が地中海を挟んでアフリカと向き合っている西ヨーロッパの各国は、難民の問題に 直面し国内に緊張が高まっています。
熱帯の貧しい地域では十分な医療を受けることができません。
エボラ出血熱やデング熱マラリアなどが流行しやすいです。
人々が貧しい国に出かけた時や貧しい国の人々が豊かな国に来る時に、デング熱やマラリアなどの菌を運んできます。
富の不均衡は貧しい国だけでなく豊かな国にとっても大きな問題なのです。
不均衡を抑える取り組み
ほんの少しの資金援助で結果が得られるのが医療の分野です。
もし世界を変えようと思ったらまず投票です。
民主主義には問題はありますがこれまで市民が求めてきたものは民主主義でなんとか獲得できています。
私たちが格差の存在にじっと耐え、半ば諦めています。
実は私たちヒトの仲間チンパンジーは公平公正さの感覚を持っています。
一匹のチンパンジーには食料を与えず、もう一匹のチンパンジーにアボガドなどのおいしい食料を与えます。
アボカドをもらったチンパンジーは、仲間が冷遇されているのを見るとそれを受け取りません。
チンパンジーは仲間を公平に扱ってほしいと考えているのです。
チンパンジーや猿でさえ持っている公平さの感覚を、ヒトは類人猿が持つ公平公正の感覚を失ってしまっています。
しかし、人間が生み出した問題は人間が解決できます。
国際協定が最近いくつも調印されたことも希望の種と言えるでしょう。
戦争や殺人、やレイプは、私たちが動物から受け継いでどうしようもないいう理屈があります。
しかし動物とヒトの最も大きな違いは、私たちはモラルによる選択をすることができるということです。
動物は遺伝子を残すために行動しますが、私たちはどう行動するか自分で決められます。
男性が手当たり次第レイプすると遺伝子を置く残せるかもしれませんが、しかし今やその男性は 投獄されます。
遺伝子の拡散だけを目的としたもうやめ、私たちはモラルによって行動すると決めたのです.
まとめ
動物とヒトの最も大きな違いは、ヒトはモラルによって行動すると決めたこと.
とても胸に響きました。
ただ、チンパンジーが持っている公平・公正の感覚を失っているのは悲しいことですね。
その点は引き継いでいきたいですね。
ヒトはアフリカで500万年前にチンパンジーから枝分かれしました。
その後さまざまな困難にぶつかっても、その都度乗り越え進化してきました。
今、目の前にある困難もきっと打開策があるはず。
500万年前にわたる知恵が伝わっているのですから。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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